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トップMapAngel Down 少女たちの過去編>『ハンター協会』

前回→AD少女たちの過去編 『真夜中の出会い』

注意事項

1、これは東方projectの二次創作小説である

2、オリキャラが登場するのである

3、原作設定一部崩壊、キャラ設定一部崩壊しているのである

4、これらの要素のひとつでも嫌なのであるなら、すぐに戦略的撤退をするのである

5、以上のことが大丈夫ならば、スクロールで読んでいってくれ




「登録番号10008、ご苦労様でした」

目の前にいる黒髪の女性がオレに労いの言葉をかける。
黒く艶のある髪に、ピンク色の唇。
そして綺麗に整った顔とは不似合いな緑色の軍服。
それが彼女をハンター協会の人間だということを物語っていた。
彼女とは同期であり、時折一緒に組んだりもした。
世間では、幼馴染という奴なのかもしれない。

「ああ、お疲れ」

オレはいつものように気さくに返事をする。
すると、彼女がいきなりオレの顔を覗き込んだ。

「……」

「な、なんだよ?」

「……いえ、なんでも」

「?」

彼女は時折、こういう奇怪な行動をする。
協会(ここ)で働いている職員はみな、変人だと言われているが彼女もそうなのだろう。
ただ、黙っていればそこそこ美人であり、しかも命令に忠実であり、優秀。

「……」

一瞬、彼女が冷たい視線でこちらを見てきた。
考えが読まれたかと思ったが、すぐに視線をそらしてくれた。

――考えが読まれていたら、蹴り飛ばされるだろうな。

その姿を想像し、軽く吹いてしまった。




ここでのオレの仕事は、主に狩りだ。
依頼された吸血鬼を捜索し、発見次第殺害する。

――まるで猟犬だな。

そう言いながら笑いがこみ上げてくる辺り、オレはもう駄目なのかもしれない。
だが生きるために、食事をするためには金がいる。
水を飲むためには金がいる。
寝所を確保するためには金がいる。
生きるために、自分の気持ちに言い訳をして奮い立たせなければいけない。
それがこの世界で生きるためには避けては通れない壁だった。

オレがこの世界に入ったのは、今から十年前。
親父は飲んだくれで金をギャンブルにつぎ込む典型的な最低の父親だった。
お袋はどこかの男に身を寄せて家にも帰ってこないような駄目な母親だった。
親父は、ギャンブルで負けるとそのたびにオレに暴力を振るった。
今考えると親父の気持ちも分からなくはないが、決して同情はできない。
妻に見捨てられ、その妻が残した子供がいる。
なら腹いせに暴力を振るいたくなるのも分からなくはない。
我慢できればいい。ただひたすら耐えるだけだったから。
だけど、とうとう我慢できないところまで来てしまった。
だから決意した、自由になってやると。
この忌々しい家から逃げてやると。

まず親父の缶ビールに睡眠薬を入れ、眠らせた。
そしてタバコの不始末に見せかけ、火を放った。
すぐに消防車が駆けつけ、火を消していたが後の祭りだ。
親父は焼け死んだが、当然のように誰もガキのオレを疑わなかった。
しかも、皆一様に同情の視線をオレに送っていた。
そりゃそうだ。こんなガキがまさか父親を殺したなんて誰も思わないだろう。
かくいうオレは、初めて人を殺したというのに何も感じなかった。
多分その頃のオレには実感が沸かなかったのだろう、人を殺したという感触を。
そしてオレは彷徨った、街を。
生きるためになんでもやった。
万引きから強盗。殺人から身代わり。
生きるために、と自分に言い訳をしながら血で血を洗う毎日を送っていた。

そしてある日、悲惨な運命を変える人と出会う。
白髪にしわをよせた顔つき、大体四十代と見ていいだろうか。
黒に近いコートを着こなし、一番の特徴と言えば、その目に付いている黒い眼帯だった。
とても常人とは思えないほど重苦しい雰囲気を醸し出すその男。
そんな得体の知れないやつがオレに話しかけた。

「強く、なりたいか?」

オレは彼――シンという名の男――についていった。
信じる価値があると思ったから。
まぁ修行らしいものは殆どしてくれなかったが、精神的な強さは学んでいった。
そして彼とともに現地入りして、実践で業を磨いていった。
そんな彼と一緒にいるオレだからこそ分かることがある。
普段いい加減な彼なのだが、その心の裏には猛獣のような殺意が渦巻いているのを。
それが、彼の強さの源になっていることを。

一度、彼に尋ねたことがある。

――どうして、そこまで強さを求めるのか?

彼はこう答えた。

「大事な人を、護りたいからだ」

――大事な人?

「今はもう、亡くなっているがな」

――すまん。

「気にするな、俺が無力だったのがいけなかったんだ」

彼は、数年前に娘を誰かに殺されたらしい。

「今でも思うんだ。あの時、少しの力と勇気さえあれば、助けられたんじゃないかってな」

オレはただ黙って聞いていた。
彼の一言一句を聞き逃さないように。
そしてオレは、彼の言われるがままに吸血鬼ハンターとして協会に登録した。
後は依頼を単調にこなしていくだけ。
そこに変化はない。未来もない。
ただ、生きるために殺し続けた。
シンとは、もうかれこれ八年近く会っていない。
別に会いたいとは思っていなかった。
ただ単に、生きることで精一杯だったからだ。




休憩室の天井を見上げながら、ふと考える。

――オレはこれからどう生きればいいのだろうか?

生きる目的がなかった。
シンみたいに目的があって生きているわけではない。

――じゃあ、なんで生きたいと願うのだろうか?

それはオレにも分からない。
ただ、死にたくはなかった。
折角手に入れた命を粗末にはしたくなかった。
考えに耽っていたところを、扉のノックの音に妨害される。

「どうぞ」

扉を開けて出てきたのは、先ほど出会った彼女(オペレーター)だった。

「登録番号10008、面会よ」

「はっ? 面会? 誰が? 何をしに?」

「面会よ。ひとつめの質問の答えは、昨日貴方が救出した少女よ。名は、鬼崎 汐里。ふたつめの質問の答えは、おそらく助けてくれた貴方にお礼を言いたいだけなんじゃないかしら」

「そうか」

短く返事をし、軍服に着替える。

「よし、案内してくれ」

「了解」




着いた先は、食堂だった。
ここでは、職員たちが、朝、昼、晩、メシを食う唯一の場所である。
白い壁に囲まれており、さながら病院の待合室を思い浮かべる。
メニューはそれほど多くなく、珍しいものは何一つない。
メニューのカレーはレトルト、ラーメンはインスタント。
それでも、この食堂は職員たちの憩いの場であり、オレたちハンターも時々使用する。
目的のテーブルに座る。
しばらく経つと、彼女がやってきた。
黄金色の長く艶のある綺麗な髪に、白く透き通った肌。
幼さを残す顔に、小さな身体。
そして白いワンピースを着こなす彼女は、あの夜に出会った少女――鬼崎汐里――だということを物語っていた。

「ゼロ、おまたせ」

「ああ」

彼女が向かい席に座る。

「何がいい?」

「なんでもいいよ」

「なんでもいいって言うんだったら、この食堂で一番不味いメシでも食わせてやるよ」

「えっ!? ちょっと、冗談……だよね?」

「ああ、冗談さ」

「うぅ……酷いよ」

オレのからかいに涙目になっている少女。
こうやって女の子を弄るのが、最近の趣味になってきた。

「分かったよ、まぁまともなもんでも頼んでくるわ」

そう告げると、食券購買機へ向かった。

食券を買い、料理ができるまで待つ。
数分後、頼んでおいた料理が席に届けられた。

「カレー?」

料理を見た彼女の第一声がそれだった。
それもそのはず、彼女の目の前に運ばれてきたのは、ただのカレー。
具も何も入ってない、ただのレトルトカレーだ。
何度も言うが、ただのレトルトカレーだ。

「ああ、カレーだ」

素人目から見ても、ただのカレーだ。
なのに、何故この子はここまで怪訝な表情(かお)でオレを見るのだろうか。

「なんで、カレーをチョイスしたの?」

「ん、カレーは嫌いだったのか?」

「ううん、嫌いじゃないけど……」

彼女が俯く。
何かを口に出すのを躊躇っているかのような、そんな雰囲気がする。
何故、彼女はここまで深刻そうな顔をしているのだろうか。
どうしてだ? カレーだよ。だから、どうしたっていうんだ?

「あ、いや……その」

「ん、どうした? 言ってくれないと分からないのだが……」

「ん、そのね。あの……」

突如、開き直ったかのようにオレを見つめる汐里。
どうやら、何か告げる覚悟が出来たようだ。

「あ、あのね。その、私の我侭だから怒らないでほしいんだけど……」

「ん、ああ。で?」

「あ、あのね……その……。今私、白のワンピース着てるんだ……」

「ん、そうだな」

「えっ? な、何も感じないの?」

「ん、何を感じるんだ?」

「えっ、だって、汚れたら目立つんだよ? 白だし」

「ん、そうだな」

オレがそう言うと、彼女が途端にげんなりし始めた。
何をがっかりしているのだろう、オレには全く想像が出来ないのだが。

「もういいです……はい。それで用件なんだけど」

「ん、やっと本題か。わざわざこんな所にまでオレに会いに来たってことはそれ相応の用事があるんだよな? 言ってみろよ」

「ん、あ……あのね! その……」

たどたどしくも彼女が口に出そうとしていた言葉。
それを聞いて、オレは唖然せざるおえなかった。

「わ、私もね……ハンターになりたいのっ! ヴァンパイア・ハンターに!」

その瞬間、今までの血で血を洗う日常が根元から砕け散った。
そう思わざるおえなかったのだ。

              To be continued...

次回→AD少女たちの過去編 『師と弟子』

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