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トップMapAngel Down 少女たちの過去編>真夜中の出会い

前回→AD少女たちの過去編 『名も無き狩人』

注意事項

1、これは東方projectの二次創作小説である

2、オリキャラが登場するのである

3、原作設定一部崩壊、キャラ設定一部崩壊しているのである

4、これらの要素のひとつでも嫌なのであるなら、すぐに戦略的撤退をするのである

5、以上のことが大丈夫ならば、スクロールで読んでいってくれ


私は、今の自分が惨めだった。
白い液体にまみれている自分が。
女の身体を貶されている自分が。
抵抗せずに、金のために黙って身体を差し出す自分が。

嫌いだった。
殺してやりたくなった。
でも、生きたかった。

全ては、あの男に復讐するために。





私は、ある家庭の長女として産まれた。
親の愛情もあってかすくすくと育った。
五歳になった頃、自分の家庭は他の家庭と違うのに気付いた。
見た目は同じだった。でも、中身は違った。
至るところに隠されている拳銃やナイフの数々。
まるで常に誰かに狙われているような用意周到さだった。

そして六歳の頃、私はハンターになるための訓練をやらされた。
小さい身体に、何度も竹刀がぶつかった。
その度に身体に衝撃が走り、痣ができ、涙が止まらなかった。
少し経つとその痛みも感じなくなり、どんどん自分を追い詰めていった。

近くの小学校にも通っていたが、私には退屈以外の何者でもなかった。
クラスメートの話題が何なのか理解できなかった。
勉強が簡単すぎてやる気が失せた。
体育の授業でも、力を抑えなくてはならなかったので、不満が募るばかりだった。

そんな不満も、訓練を行うことで解消することができた。
ひたすら自分を鍛えることで解消することができた。

そしてある日、父からいつもの訓練とは違う別の訓練をやらされた。
父はそれを、鬼崎流という流派の格闘技だと言った。
その流派は、一対一で吸血鬼を殺す上で最小限の動きで済むように考案された技を結集されたものだという。
私は早速、その技を中心に訓練をし始めた。
時間の流れとともに、少しずつだが技の本質が理解できるようになっていた。
反射的に動く身体に驚きを隠せなかった。
それを喜びに感じていた。
いつかは技を極め、ハンターとして父と同様に前線で活躍していこう、とそう考えていた。
あの男が来るまでは。





ある年の聖夜の日の夜、私たちは一家団欒でクリスマスを楽しんでいた。
そこにいきなりある白髪の男が侵入してきた。
ドアを蹴り破り、巨大な剣を肩に背負った大男が。
父はすぐさま異変に気づき、私たちを逃がそうとした。
だが男の力は圧倒的だった。
人間でも吸血鬼でもない化け物だった。
父の頭は大男の拳でりんごのように握りつぶされた。
母も逃げようとしたが、自分を囮にして私を助けた。
今でも覚えている。私を逃がしたときの母の悲しい瞳を。
そしてその後耳に届いた母の絶叫を。

私は必死に助けを求めた。
警察に立ち入り、助けを求めた。
彼らが家に着いたときには、家はただ轟々と燃え上がっていた。
焼け跡から父と母の死体が見つかった時、声を上げて泣いた。
涙が枯れるまで泣いた。
そして私の心に残ったのは、どす黒い憎悪の塊だけだった。
その時に決意した。私は、必ずあの男に復讐してやると。
父と母が受けた苦しみを味わせてやる、と。

それからの私は、ただの人形だった。
生きているかも、死んでいるかも分からない。
訓練ももう何年もやってない。
ただ、生きるのに必死だった。

ある日、むさい男たちが私の身体を見ているのが分かった。
女の身体に価値があるのを知った。
その日を境に、私は女としての誇りを捨てた。

何度も何度も女の身体を売り、苦痛と快感に耐えた。
やがて何度犯されても身体が反応しなくなった。

――どうやら、性感帯か何かがなくなってしまったらしい。

私にとっては好都合だった。
何も感じなければ、ただ痛みに耐えるだけでいい。

苦痛と引き換えに金を貰う。
それだけでは駄目だ、と雇い主が文句を言う。
仕事が無くなるのは嫌だった。目的を果たせなくなるから。

試しに精一杯喘いでみせた。
芝居臭いものがあったが、相手も満足してくれたようだ。

身体を売って、多額の金を稼いだ。
その金を生活のためと、情報のため、そして武器のために費やした。

生きるためと、闘うためと、殺すために。





嘔吐感が身体を襲う。
便器の中に吐き出す。
白い液体が溢れんばかりに出てきた。
それを見て、再び吐き気がした。

そして鏡で自分の姿を見る。

――ああ、惨めだな、汐里よ。

いたるところに纏わり付いている白い液体。
それから発せられる生臭さが強烈だった。

再び吐き気を催す。
ひたすら便器に吐く。
そして涙が出るのを堪えた。

時々思うことがある。
もしあの時、あの男に殺されていたら。

今の惨めな自分は存在しなかっただろうに。
こんなに無様に生きようと思っていなかっただろうに。

それでも足掻きたかった。
運命を受け入れたくなかった。
だから、今を生きている。





シャワーを浴び、濡れた身体をバスタオルで拭く。
生臭さはまだ纏わりついていた。

――どうせ汚れているんだ、気にしない。

そう自分に言い聞かせ、白いワンピースを着て外へ出た。

ちょうど日付が替わった頃、私は裏路地を歩いていた。
情報を買いに行くためだった。
先ほどの仕事で情報屋に行けるほどの金が溜まったのだ。
嬉しさ半分、悲しさ半分だった。

不穏な空気が辺りを包む。
身体が疼く。
人の気配を感じた。それも複数の。

「誰……?」

私の問いに答えたのは、五人の男だった。
まるで獲物を見つけたかのような厭らしい笑みをしていた。
背筋がぞっとする。
今までも沢山の男に身体を捧げてきたが、この男たちはそいつらとは違った。
肉を喰らい、骨をしゃぶり、芯から芯まで喰らい尽くすような野獣の眼をしていた。

すぐに身体を翻して、走り去ろうとする。
だがすぐに男に身体を地面に叩きつけられる。
そして口に何かの液体を飲まされる。
その液体が何か、と尋ねる前に男がこう言った。

「媚薬だ。さぁ、死ぬほど楽しませてやるぜ!」

服を強引に脱がされ、髪を引っ張られ、口を塞がられる。
自分の身体のいたるところを舐め回されている感覚を覚えた。
犯されているのが自覚できた。
抵抗を試みても無駄だった。
男四、五人で力一杯押さえつけられている成果、全く力が入らなかった。
次々と男が快感の声を吐き出す。
一人が入れ替わり、一人が私の身体で弄ぶ。
やがて抵抗する気も失せ、なすがままに犯されていた。

一人の男が私の首筋を舐めまわし、口を開けた。
そこには、あの男と同じ吸血鬼の証――牙――があった。
必死に抵抗したが、無駄だった。
身体は痙攣しており、動かそうにも動かせなかった。

――さっきの薬のせいか。

動かない身体に絶望を感じ、男が首筋に喰らいつくのを必死の形相で見つめる。
男はそんな私を楽しむかのようにゆっくりと近づいてくる。
そして、牙を私に突き刺そうとした時、私の何かが壊れた。




気が付いたら、目の前には蒼白の世界が広がっていた。
蒼白く燃える身体、灰になっていく身体があった。
私は理解した。
これが、吸血鬼の死の証だということを。
私が殺したのは、五人。
どうやって殺したのかは分からない。
だが手が血で汚れていないのを見ると、体術だけで殺したのだろうと推測する。
別に未練は欠片ひとつなかった。
ただただ安堵感に包まれていたからだ。

奴らの精液で汚れた身体を洗うために一旦帰宅しようと足を向ける。
その時、耳に獣の吼えるような音が響いてきた。
それは子供の時に聞き慣れた懐かしい音であった。

――銃声?

鳴り止まない音を頼りに、私はそこに歩んで行った。

そこには、一人の男がいた。
血まみれの顔をした赤髪の男が。
もしかしたら、黒髪なのかもしれない。ただ血が髪についているだけなのかもしれない。
そしてその血は、自身の怪我によるものではなく、今さっき殺したと思われる男の血だろう。
彼は無言のまま、私の首筋のナイフを向ける。

「大丈夫、楽に死なせてやるから」

彼は私の首筋を見て、驚愕した。
すぐさま私の裾を捲り上げて、手首を確認する。

「……ない!」

彼は何度も私の手首や首筋を確認する。
その動作に、何故か身体が熱っぽくなっているのに気が付いた。

――興奮しているのか、私は?

否。それはないはずだ。
どんな男が相手でも、私は何とも思わなかった。

――恥ずかしがっているのか、私は?

否。それはないはずだ。
公衆の面前で全裸になろうとも、私は羞恥心の欠片さえなかった。

――では、この気持ちは何だ?

分からない。
分からない。
分からない。

思考が上手く回らない。
喉が渇く。
心臓の鼓動が早くなる。

そんな私をよそに、彼は携帯を開いて通話ボタンを押す。
そして私に聞こえないように、ぼそぼそと話している。
やがて電話を終えると、彼は私を見てこう言った。

「もうすぐ、君を迎えに車が1台来るよ。それまでオレが君を護るから」

その言葉でようやく分かった。
彼は、ハンター協会に属している人間なのだと。
状況から見て、恐らくはハンター。
私は期待に満ちた声で、彼に尋ねた。

「……ねぇ、あなたは、ハンターなの?」

彼は驚いたような瞳で私を見つめる。
どうやら当たっていたらしい。
彼は、俯きながらこう呟く。

「ああ、そうだ」
「ところで」
「君はどうして、そんなに、精液の匂いがするんだ?」

その言葉を聞いてようやく思い出した。
私はさっきまで強姦(ごうかん)されていたという事実に。
そしてシャワーを浴びようと帰宅していた最中だったということに。
急に恥ずかしくなる。こんな惨めな姿を彼に晒していることが。

「先ほど君の身体に精液が付着しているを確認した。それも、1人ではない。最低4人、それだけの分が君に向けられた、これはどういうことだ?」

私は、彼が蔑んだ眼で私を見ていると思っていた。
だが違った。
彼は、慈しむかのような視線で私を見つめていた。
今まで父以外の男は誰もそんな眼で私を見なかった。
雇い主も、私を何か汚いものを見るような眼で見ていた。
だからそんな瞳で私を見てくれたのが何故か嬉しくなった。

――彼を信用してもいいのだろうか?

分からない。
ただ、全てを話してもなお私を受け入れてくれるかもしれない。

――だが裏切られたときはどうする?

その時はその時だ。
いつもどおり、彼の元から去ろう。

「……これが、私の仕事だから」

私は覚悟を決め、彼に私の全てを打ち明けることにした。









「……そうか」

全てを話し終え、彼がようやく口を開く。
結果は期待していない。でも、期待したい。
そんな矛盾が頭の中を回っていた。

そんな中、ふと気付いた。
彼が何故か悲しそうな表情(かお)をしているのを。
その時、私は直感した。
彼ももしかしたら、私と同じような人生を歩んでいるのではないかと。
恐る恐る彼に尋ねた。

「あなたも、同じなの?」
「何故そう思う?」
「だって、悲しい瞳(め)をしてるから」

彼がすっと眼を逸らした。
その瞬間、分かってしまった。
やはり彼は私と同じなのだと。

「やっぱり、そうなんだ」

彼はただ黙っていた。
気まずい雰囲気の中、私は話題を変えようとした。

「ねぇ、あなたの名前は?」
「その質問に答えて、オレに何のメリットがあるというんだ?」

彼の鋭い言葉が胸に突き刺さる。
胸の痛さを必死に耐える。

「すまなかった。別に君のことを嫌っていたというわけではない」

彼が必死に謝罪をする。

「ううん、いいの。慣れてるから」

――そう、慣れている。

皆が、私を獣(けだもの)を見るかのような視線で見る。
時には罵られたり、暴力を振るわれたときもあった。
しかし心の痛みは時間が解決してくれた。
何度もぶつかっている内に気付くのだ。いつの間にか自分が慣れていることに。

だから、私は傷つかない。
心の殻に閉じこもっているから。

そんな私の様子など知らないかのように、彼が再び声をかけた。

「すまない。そういえば名前だったな。オレには名前がない」
「えっ?」

一瞬、彼が何と言ったのか理解できなかった。
そんな私に眼もくれず、彼は話を続けた。

「戸籍上ではオレは存在しないものとなっているからだ。そしてオレは言うならば消耗品だ。死ぬまで使われて、死んだらただの生ゴミだ。死者の尊厳や人としての権利、人権もない。それがオレだ」

彼の言葉を聞いている内にふと気付いたことがある。

私は女の身体を求められて、それに応じていく。
だけど、私が死んだらどうなるのだろうか?

私を悲しむ人間はいるのだろうか、いやいないだろう。

男たちとはあくまで肉体関係、もっと言えばただの店員と客の関係だ。
そんな人間が死のうが、彼らには悲しむ義務はない。
そう思うと、今までの自分の人生がとても惨めに思えてきた。

そんな私の様子を見たのか、彼が明るい声で話しかけてくる。

「気にするなって。お前が悪いんじゃないしな。それと、名前らしいものといえば、登録番号10008、これがオレの名前だ」
「いち、ぜろ、ぜろ、ぜろ、はち?」
「ああ」

私は、その名前を必死に繰り返す。
忘れないために。

「いち、ぜろ、ぜろ、ぜろ、はち」
「イチ、ゼロ、ゼロ、ゼロ、ハチ」
「1、0、0、0、8」

――そういえば、彼にはちゃんとした名前がなかったんじゃないか。

そう考えると、私は彼に名前を付けてあげたいと思った。
何故そう思ったのかは分からない。
無意識のうちに、その名前を呟いていたからだ。

「ゼロ」
「ゼロ?」
「うん、ゼロ。それが、あなたの名前」
「ゼロ……なんかすげぇ恥ずかしい名前だな」
「照れない、照れない! カッコイイよ!」

彼の頬が紅潮しているのに気付いた。
彼の予想外な反応に、思わず笑みが零れてしまった。
久しぶりに笑ったような気がした。
前笑ったのはもう何年も前か覚えていないけれど。
でも、思う。
笑うのは、とても気持ちの良いことなのだと。

「ゼロ、か」

彼がそう呟く。
与えられた名前を噛み締めるかのように。

「そういえば、さ」
「君の名前、聞いてなかったな」

彼が私に尋ねてくる。
近くから車のエンジンのような音が響き渡ってくる。

――もう、お別れなのかな?

そう思うと、不意に胸が熱くなった。
だから、私の名前を言おうと思う。
私のことを、覚えて欲しいから。

「私の、名前?」
「ああ」
「私は……」



「鬼崎……汐里」



                   To be continued...

次回→AD少女たちの過去編 『ハンター協会』

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