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トップMapAngel Down 少女たちの過去編>『幻想に消えた狩人』

前回→AD少女たちの過去編 『切り裂きジャック』

注意事項

1、これは東方projectの二次創作小説である

2、オリキャラが登場するのである

3、原作設定一部崩壊、キャラ設定一部崩壊しているのである

4、これらの要素のひとつでも嫌なのであるなら、すぐに戦略的撤退をするのである

5、以上のことが大丈夫ならば、スクロールで読んでいってくれ







「ん……」

眼に入り込む光を感じ取り、重い瞼を開ける。
燦々と照らし出す太陽の光がオレの瞳を襲った。

「まぶっ!?」

瞼を擦りながら、意識を覚醒させる。
ぎらぎらと照らし入る太陽の熱線とともにその視線に入ったのは、ゆらゆらと揺れる花びらだった。

「桜?」

その瞬間、自分の背中が何かにもたれかかっていることに気づいた。
重い腰を上げて、その何かを確認するために振り返る。
振り返った視線の先には、満開の花を咲かせた桜の木があった。

「綺麗だ」

無意識の内に言葉が零れる。
視線がその木から離すことができない。
美しい。ただただ美しい。
ずっと見つめていたい。永久にその桜を眺めていたい。
それほどまでに、オレはその桜の木に魅入っていたのだ。

「見つめては駄目よ。その桜は」

「見つめてるとね、魂を吸い取られてしまうわよ」

美しい声が不意に耳に届く。
その歌声のような綺麗に透き通った声に釣られるように振り返る。
そこにいたのは、一人の少女だった。
幼い顔つきに、黄金色に輝く長い髪。
小さな身体に独創的な衣服を身を包むその姿は、まさに異様だった。
だけど、オレには見覚えがあった。
ずっと昔。そう、ずっと昔に見たことがあるのだ。
いつ? どこで? 何のために?
ひとつも思い出せない。
けれど、自信はあった。
彼女とは、一度面識があると。

「お前、オレと一度会ったことがあるか?」

思い切って彼女に尋ねてみる。
普通に考えると失礼にも程がある言い草だが、ここは常識には目を瞑ってもらおう。
この世界はおそらく、オレが居たあの血生臭い世界ではない。
だとしたら夢? それでも構わない。
こんなゆったりとした世界に来れただけでも、心が安らぐからだ。
そんなことを考えてると、彼女が先ほどの質問に答えてくれた。

「ええ、あるかもね。まぁ貴方がそれを覚えていたことに関しては、ちょっと驚いているけど」

「そうか。まぁ面識のあるやつにこれを言うのはどうかと思うが……お前、誰だ?」

「私? ふふっ、私はね……」

その瞬間、涼しげな旋風が流れた。
その風の影響か、桜が花びらを沢山散らせていた。
その舞い落ちる花びらに視界を奪われる。

「――――――よ」

彼女が自分の名前を言ったようだ。
だが、旋風に押されて上手く聞き取れなかった。

「おい、今お前何て言った――」

オレの声も彼女には届かなかった。
かろうじて目を開けたときは、すでに彼女の姿はどこにも見当たらなかった。

「誰だったんだ……あいつは」

そんなオレの疑問に答えてくれるものは誰もいない。
ただ、桜だけが黙々と花びらを散らせていたのだ。




桜の木にもたれかかって、空を見上げる。
勿論、視界に映っているのは満開の花びらだ。
懐から煙草を取り出し、口に咥える。
そしてライターで火を点ける。
この行動に何かしらの疑問を浮かべる者はあまり居ないだろう。
だが、オレは今まさに疑問を浮かべていた。

どうしてこの苦みばしった味がするのか。
どうして全身にニコチンが行き渡っているかのような爽快感を味わっているのか。
夢にしては、かなりリアルな夢だ。
というより、どう考えてもこれは夢ではない。
紛れも無いリアルの世界なのだ。

だったら、次に浮かぶ疑問はこれしかない。
どうしてオレはここにいるのか。

オレの記憶だと意識がはっきりしていたのは自分の家でパソコンをしていたときだ。
それ以降は確かに記憶がぼやけている。
そして意識を失った後、気づいたらここにいた。
まず自信を持って言えることは、オレは夢遊病の類ではないということ。
理由としては、自宅は都会の中にある。
次に近隣にはこんな自然が溢れている場所は数えるほどしかない。
最後に、その全ての場所と今いる場所は当てはまらないのだ。
故に夢遊病ではない。これは断言できる。

だとしたら、誘拐。もしくはそれに近い何か。
考えられないわけではないのだが、成功する確率は恐らく0に近い。
まずオレは人の気配に気づかないほど愚かなハンターではない。
そんなんだったら、とっくの昔に殺されてるしな。
そして誘拐は他の犯罪よりもかなり危険が高く、しかもリターンもあまり得られない。
仮にオレが誘拐されたとして、こんなところに放置しておく必要がどこにある?
本来だったら、どこかの施設に幽閉されるのが良いオチだろう。
だがそれもやらない。ただ野放しにしてるだけ。
とてもじゃないが、苦労に見合うだけの利益を得たとは考えにくい。
そして野放しにして餓死させるというパターン。
これはあり得ないな。誘拐できるのなら、その場で殺してしまえばいいのだから。
こんな手の込んだ罠を仕掛ける必要もないのだ。
では、誰が何のためにこんなことをした?
理由もつかめないまま、オレはただ野放しにされているだけ。
こう訳が分からないと、怒りを通り越して呆れ果てる。

だけど、ひとつだけ考えられない選択肢があった。
ここは、オレが今まで居た世界(リアル)とは別の世界なのではないかということ。
別に比喩や何かの例え話というわけではない。

――ここは何かの別の異空間であり、オレはなんらかの影響でここに転移させられた。

一番あり得ない選択肢なのに、何故か一番しっくりするのだ。
もし仮に幻想郷が実在したとしよう。
スキマを操る妖怪によって、この世界へ引きずり込まれた。
あり得ないようであり得る。
矛盾しているからこそ、成り立つのだ。

「まぁ、いくら現実逃避しても結果が目の前にあるわけだが」

考えるだけ無駄。まずは現状を打破しなければならない。
オレが出した結論がこれだ。
事情はどうであれ、今ここにいるのは紛れも無い現実。
今を生き抜くのが先決なのだ。

それを考えると、ひとつの可能性が出てきた。
そう、先ほど出会った少女のことだ。
もし彼女が誘拐犯の仲間だとしたら?
オレに接触することで、何かの情報を聞き出そうとしたのか。
それとも、別のことでなのか。
彼女が姿をくらました今となってはもう分からない。
だが、彼女には十分警戒するべきなのは確かなことだろう。
仮にオレを誘拐した犯人の一味なのだとしたら、戦力、実力ともにかなりのものだろう。
気配を消してオレに近づき、再び気配を消して姿をくらましたのだから。
これは一種の脅しなのかもしれない。
いつでもお前を殺すことができるのだ、という恐怖を植えつけるために。
まぁそんなことをして一体何を得られるのだって話に戻るのだが。

「あら、もう来てたのね」

不意に女性の声が耳に届く。
反射的に懐から銃を構える。

「慌てないで。私は貴方に銃を向けられる覚えはないわ」

そこに居たのは、先ほどの少女ではなかった。
確かに外見はあの少女と良く似ていた。
だが決定的に違ったのは、紫色の日傘と、その身丈だった。
先ほどのは子供程度の身長だが、今目の前にいる少女はそれよりも高い。
例え変装の達人だとしても、こうまで違いすぎている身長をカバーするのは不可能だろう。

もうひとつ気になったことがある。
オレは彼女の顔に見覚えがあるのだ。
先ほどの少女とは違い、ごく最近、それもゲームの中で見たのだ。
そう、現実にいるはずもない者。
それが今、こうして目の前にいる。

「お前は……誰だ?」

「あら、何度も見ているはずだけど」

「そうだっけ? 覚えはないな。最近どうもボケてきたようでな」

「そう、なら仕方ないわね」

ゲームの世界の人物。
だから、この世界(リアル)にいるはずがないのだ。

「私の名は――」

だからこそ否定する。
けれど、彼女がオレの考えている人物と同一であるのなら、全てのピースがひとつになるのだ――最悪の形で。

「八雲 紫」

この瞬間、オレの世界がガラスのように砕け散った。
そして同時に理解した。
ここは、幻想郷なのだと。

「汐里。お前の兄さんは……幻想入りしちまったらしい」


              To be continued...   

次回→AD少女たちの過去編 『狩人とスキマ妖怪』

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