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トップMapAngel Down 少女たちの過去編>『狩人と金色の吸血鬼』

前回→AD少女たちの過去編 『狩人と紅の吸血鬼』

注意事項

1、これは東方projectの二次創作小説である

2、オリキャラが登場するのである

3、原作設定一部崩壊、キャラ設定一部崩壊しているのである

4、これらの要素のひとつでも嫌なのであるなら、すぐに戦略的撤退をするのである

5、以上のことが大丈夫ならば、スクロールで読んでいってくれ


地下室への扉を開ける。
ギギギッという重苦しい金属音とともに、光に満ちた世界がオレを優しく迎え入れた。
中に居たのは、一人の吸血鬼。
黄金色の髪色に、仏蘭西人形のように白い肌。
幼さを強調させるピンク色の帽子に、腕白さを強調させるミニスカートの白いドレス。
そして極めつけは、背中に生えている特長的な羽。
いや、羽というより飾り(アクセサリー)といったほうが正しいのかもしれない。
羽を毟り取った後の骨のようなものにとって替わってつけた菱形(ひしがた)の結晶体(クリスタル)。
その色鮮やかな結晶体は、魔力そのもの。
そしてそれを身に纏っている彼女は、吸血鬼ではない吸血鬼。
それが彼女、フランドール・スカーレットであった。

「ちぃーす、お邪魔しま――」

その瞬間、オレの瞳に入ってきたのは――。
無言のまま、骸骨を見つめるフランの姿だった。

「なんだあの表情(かお)……」

悲しそうな、しかしどこか儚げそうな、そんな表情(かお)。
見つめていたら吸い込まれそうになるその大きな瞳には、左手に持っている骸骨が映っていた。

「…………」

唐突に骸骨が砕ける。
血飛沫を上げながら砕けるその様子に、オレは一瞬胃液が逆流するような気持ち悪さを覚えた。

「あれが……フランなのか? ゲームでのイメージと大分違うな」

彼女が登場したゲーム、『東方紅魔郷 ~ the Embodiment of Scarlet Devil.』では、彼女は情緒不安定で無邪気であり、闘いでしかコミュニケーションが取れないようなそんな感じの少女だった。
それが今目の前にいる彼女は、物静かというかクールというか。
だが――。

「うふふ」

精神的に危ないというのは共通していた。

――道理であいつらが深刻そうな顔をするわけだ。知ってたんなら先に教えろって言いたいわ。

そう考えると、部屋へ一歩踏み出す。
その瞬間、ぐしゃと嫌な音が辺りに響いた。

――なんだッ!? 何踏んだッ!? 明らかに聞き覚えのある気持ち悪い音だったが。

ゆっくりと視線を足元へと向ける。
その時オレの視界に映ったものが何かは思い出したくない。

「あっ! お客様だっ!」

その音に気づいたらしく、彼女が声を上げる。
そしてオレの踏んでいる物に気づいたらしく、視線をそこへ向けている。

「…………」

先ほどと同じように悲しそうな顔。
なんなんだよさっきから。マジで怖いんだけどっ!

「あ、お見苦しいものをお見せしてごめんなさい。その……お姉様や咲夜以外のお客様が来るのは初めてでしたから」

「あ、いえいえ。こちらこそノックもせずに入ってしまって」

「いえ、そんな……」

そう呟くと、若干彼女の頬が紅潮した。
何でだろうか。物凄く可愛く見える。
なんかうちに来たばかりの汐里みたいだ。勿論、今でも可愛いけどさ。

「あ、あの、よかったらお茶、ご一緒してくれませんか?」

「その、誰かとお茶することもなくて、いつも一人ですから」

申し訳なさそうに俯くフラン。
その仕草が凄く可愛い。汐里と初めて会ったときのことを思い出す。
怯えながらオレのことを見る汐里は可愛かった。ああ、今でも可愛いけどさ。

「ああ、勿論いいぜ。一緒にお茶しようぜ」

オレは二つ返事で答えた。
その選択が、後に不幸を呼ぶことになるとはこの時は思ってもいなかったのだ。




「…………」

無言のまま彼女を見つめる。
そしてテーブルの上にのせてあるケーキに視線を移す。
ケーキは、なんというかその……ケーキなのかこれは?
少なくともオレの知ってるケーキじゃない。
オレもあまりケーキについては詳しくないし、食べる機会だってなかったが。
少なくともこれは、汐里がよく口にする甘そうなケーキでないことは分かった。
なんだよ、これ。この白くて丸いのって、眼球だよね?
それにこの赤いソースのようなものって、もしかして血液?
このピンク色の生地は……まさか脳みそか?
匂いもなんというか、仕事でよく嗅いでいた錆くさい臭いなんだよね。
しかもこの眼球、さっきからちょくちょく動いてるような気がするんですけど。

「あ、あのさ。これって……」

恐る恐る彼女に尋ねてみる。
彼女はそんなオレの様子に気づいたのか、悲しそうな表情(かお)で答えた。

「あ、あの。もしかして、ケーキはお嫌いでしたか?」

「い、いやっ! そういうわけではないんだが……」

「あ、うぅぅ……。ごめんなさい」

涙目になっている彼女。
なんか自分が苛めてるみたいで申し訳ない気持ちになってきた。
そうだよな! 見た目がどうであれこれはケーキだ。
食ってみたら案外美味いかもしれないし。

「……っ。頑張れ、オレ。これはケーキだ、うん」

ごくっと唾を飲む。
そして覚悟を決め、ケーキを口に運ぶ。
口に入れた瞬間、言い表せないような味が口の中に広がった。
何これ未知の味だこれ。
脳みそが、眼球が、血液が互いに絡み合い独特の味わいを引き出してる。
オレも仕事柄、食料が切れて得体の知れないようなモノを食うことにはなったよ。
でもこれは、今まで食った得体の知れない料理より精神的にくる。
こんなケーキ初めてだよ。
というかこれ、ケーキの皮を被った何かだろ絶対。

「それ、さっき取ってきたばかりですから、新鮮なんですよ」

にこりと微笑みながら言う彼女の背後には、首のない死体。
肉や脂肪は毟り取られた跡があり、骨が剥き出しになっていた。

――アレか!? アレなのかッ!? アレから抉り取ったのかッ!?

なんというか、もう発狂しそうだった。

「あ、あの。もしかして、美味しくなかったですか?」

俯き加減に尋ねる彼女。
そんな可愛い顔してその動作はもはや反則じゃないかちくしょう。

「い……いや、美味しかったよ。うん」

正直嘘をつくのは嫌いだが、これはつかなきゃ駄目だ。
こういう時の嘘って、優しい嘘だってシンも言ってたしな。

「あ、でも。もういいかな。実はさっき食ってきたばかりでちょっとお腹いっぱいなんだ」

これも仕方のない嘘だ。
これ以上食うと絶対発狂する。
そんなオレにトドメをさすかのように彼女は俯き加減で呟いた。

「あ、あの。やっぱり、美味しくなかったですか?」

――だからその顔は反則だって言ってんだろッ!

心の中でそう叫び、再びケーキを見つめる。
正直反吐が出そうになったが、彼女が見つめる前でそんなことはできない。
ならば、オレに出来ることはただひとつ。

「いただきます」

再びオレは、このケーキらしきものを口に入れることを選んだ。





泣きたい。マジで泣きたい。
なんかさっきので自分の中にある大事なものが一個消えたよ、絶対。

「あの、お客様はどうして私の部屋に?」

期待に満ちた瞳でオレを見つめる。

「ん、ああ。ある人に家庭教師を頼まれたんだよ」

「家庭……教師?」

「ああ。簡単に言えば、お前に勉強を教える先生だ」

「先生……」

彼女はそのことを頭に叩きいれるかのように何度も呟いていた。
よほど嬉しかったのか、顔を綻ばせていた。

「先生は、その……何を教えてくれるんですか?」

「そうだな。例えば、力の加減方法からあの子と友達になる方法。それに恋愛のイロハに効率的な殺人術までなんでも教えられるぜ」

「あの、でしたらひとつ教えていただきたいことが……」

落ち着かないようで、手をもじもじと太股のあたりに動かしながら、恥ずかしそうに彼女は言った。

「あの……百合ってなんですか?」

「へっ?」

思わず素っ頓狂な声を上げてしまった。
オレの聞き間違えかもしれないし、念のためにもう一度彼女に尋ねる。

「あのさ、もう一回だけ言ってくれない? ちょっと聞きそびれちまった」

「あ、すみません。えっとですね、百合ってなんですか?」

「なぁ、その単語……どこで聞いたんだ?」

「えっと、この前パチェが私とお姉様を見てそう呟いたんです。パチェに聞いてみてもにやけるだけで何も答えてくれないし」

「ああ、そっか。あいつが元凶なのか」

こんな純真な子に何吹き込んでいるんだあの魔女は。
何故か憤りのない怒りが湧き出てきた。

「結局、百合ってなんですか?」

「えっと、それはな。その、さ」

期待に満ちた瞳で尋ねる彼女を見ていたら、こんな単語を素直に教えるべきかどうか迷うぞマジで。
なんか彼女の純粋な心を穢してしそうでさ。

――オレ、どうすればいいんだよッ!?

これがゼロがフランやレミリア、咲夜たちとの物語の始まりとなった出来事である。
そして幻想郷の存亡を賭けた大きな異変の始まりの一ページとなったのだ。

                  To be continued...


次回→AD少女たちの過去編 『スカーレット家』
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