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トップMapAngel Down 少女たちの過去編>『フラン・ドール』

前回→AD少女たちの過去編 『スカーレット家』

注意事項

1、これは東方projectの二次創作小説である

2、オリキャラが登場するのである

3、原作設定一部崩壊、キャラ設定一部崩壊しているのである

4、これらの要素のひとつでも嫌なのであるなら、すぐに戦略的撤退をするのである

5、以上のことが大丈夫ならば、スクロールで読んでいってくれ


パチュリーが紅魔館に滞在してから、1週間が過ぎていた。
紅魔館では、盛大なパーティーを行うための下準備に取り掛かっていた。

このパーティーの目的はスカーレット家の新しい当主の発表ともうひとつ、妹たちのお披露目であった。
当主については、両親はスカーレット家長女イリス・スカーレットに当主の座を譲り隠居したと発表する予定である。
そして新当主発表よりも重要なもの、それが妹たちのお披露目である。
世間では妹のことは「羽なし」として噂されている。
だからこそ、羽の生えた妹をお披露目し、世間にちゃんとスカーレット家三女であると知らしめる必要があった。
そうすることで、妹はもう世間の目から怯えながら暮らす必要がなくなるとイリスは考えていた。

そして、そのお披露目会のときに、妹に名前をつけて、

――これが貴女の名前よ。

そう囁いて、彼女を驚かせるのが密かな楽しみであった。
だが運命は彼女たちを残酷に弄んだのであった。




パーティー会場を出て少し歩いたところに、吸血鬼用の便所があった。
その前の廊下にて、二人の吸血鬼が世間話をしていた。

「おい、聞いたか?」

「何を?」

「今日の当主就任のパーティーは新当主の発表だけではなく、自身の妹たちのお披露目もあるそうだ」

「一人は……確かレミリアというお嬢様だったな。もう一人は……、ああ。あの『羽なし』か」

「その『羽なし』なんだけどな。使者たちの噂だと、どうやら吸血鬼の証である羽を得たとかなんとか」

「何? それはいったいどういうことだ? 詳しく教えてくれ」

男はその話題に興味深そうに食いついてきた。

「使者たちの噂なんだがな、どうやら前の当主は隠居したのではなくイリス様に殺されたらしい……。
 そしてイリス様は前当主から羽を奪い取り、魔法使いを使って、その羽を『羽なし』に付けたらしいんだ」

その話を聞いて、男がぞっとした。

「なんとおぞましい……。それが真実ならば、まるで"フランケン・シュタインのクリーチャー"(Frankenstein's creature)ではないか」

「その通りだな。いや、この場合、人形なのだから、"フラン・ドール"(Frankenstein's doll)と言ったほうがいいのじゃないか?」

「"フランケンシュタインの人形"(Frankenstein's doll)か。お前、センスがあるな。
 フラン・ドール……あの『羽なし』に相応しい名ではないか」

「その通りだな」

二人の吸血鬼は氷のような微笑をし、パーティー会場へ戻っていった。




同じ頃、この二人の吸血鬼とは反対側の廊下に、金髪の髪色をした少女が歩いていた。
今日は妹たちの披露会もあるということで、居ても立ってもいられなくなり、辺りを散策していた。

「あっ!」

彼女の視線の先に、二人の吸血鬼がいた。
どうやら、姉のパーティーで招待された客人のようだった。

私ったら、また……。イリスお姉様も、レミリアお姉様も『もう何も怖いものはないから堂々としていればいいのよ』って言ってくださったのに。
お客様なんだから、ちゃんとご挨拶しないと。

廊下の奥にいる二人の吸血鬼は、どうやらこちらには気付いていないようだった。
聞き耳を立てるわけにはいかないと思い、その場を去ろうとした。

「……噂なのだが……羽なしは……」

僅かに聞こえる声から、話題は自分だということが分かった。
そう思うと、気になってしまい、失礼と思いながらも聞き耳を立てることにした。

「……フランドールと言った……」

フラン……ドール?

彼女にはその単語に聞き覚えがなかった。

フランドール?
フランドール?
フランドール?

やはり何回も呟いても、何も思い浮かばなかった。
お姉様たちなら何か知っていると思い、後で尋ねることにした。

「……フランドール…………相応しい名……」

相応しい名?
名前?
私の名前?

「フランドールっていうのが私の名前だったのね! 私にも……名前があったんだ……!」

「フランドール……私の名前……!」

にやけ顔を隠せないほど、彼女は喜んでいた。
自分にも名前があったのだと。その事実が彼女を幸せな気分にさせていた。




同じ頃、ある一室に二人の吸血鬼がいた。
イリス・スカーレットとレミリア・スカーレットである。
彼女たちはあることで悩んでいた。

「お姉様……何かいい案ないの? あの子の名前」

「貴女も考えなさいよ! うーん」

「あっ! これなんかどう? お姉様の名前の頭文字と私の名前をとって、イリアとか」

その名前を聞いて、愕然とした。

まさか実の妹に、ここまでネーミングセンスがないとは思わなかったからだ。


「イリスお姉様、レミリアお姉様!」

そんな中、彼女たちの悩みの中心人物であった人物が入ってきた。

「どうしたの? そんなに慌てて」

息切れしている彼女の様子を見て、背中を摩りながらそう聞いてみた。

「聞いてお姉様! 私にも名前があったんだよ!!」

その言葉に、イリスとレミリアは唖然とした。
震えるような声でレミリアは言う。

「そんな……何を言って……」

「さっきお客様が話しているのを聞いたの。私の名前は、フランドールっていうんだって!
 イリスお姉様! レミリアお姉様! 今度から私のことは、フランドールって呼んでね!」

「フラン……ドール……」

唖然とした顔で、そう呟く。
フランドール。
フラン・ドール。

「そう! 私の名前はフランドールよ! フランドール……ふふふ」

フラン・ドール。
フランケンシュタインの人形。
勿論、そのことはイリスとレミリアには分かっていた。
そう、それがこの子の運命だっていうの? この世界で生きてる限り、この子の運命は変えられないっていうの?

――ナラ、コンナ世界ナド壊シテシマエバイイジャナイカ。





レミリアは無言で部屋を出て行くイリスを止めようとした。
だが、止められなかった。
いや、止めようとはしなかった。
レミリア自身も、彼女の運命を嘆いているから。

そしてイリスは、紅魔館に来ていた吸血鬼たちを手当たり次第に殺し回った。
それも両親の時と同じように残虐に。

だが、イリスの怒りは、これだけでは終わらなかった。

その後イリスは、付近に住んでいる人間たちを手当たり次第に殺し回った。
服についた肉塊さえもまるで気付いていないほど彼女は怒り狂っていた。この世界に。

そして、ルーマニアは全土外出禁止令が出され、国家所属のヴァンパイアハンターたちも動いたが、
誰一人怒り狂った彼女には叶わなかった。

そんな中、町を人々の悲鳴の渦に巻き込んでいる彼女の前に、黄金色の髪色をもつ少女が姿を現した。
その少女は、地獄とも思われる世界の中、ただ一人そこにいた。
まるで、自分以外の世界が自分とは無関係だと思わせられるかのように。

「誰?」

目の前の少女に話しかける。
目の模様がある紫色の日傘の中から出てきた顔は、まぎれもない少女のソレだった。

「私のことかしら? 私の名前はね――」

だからこそ信じられない。
何故、ただの少女がこんなところで平然と立っていられるのか。

「八雲紫よ」


                     To be continued...


次回→AD少女たちの過去編 『狂乱する少女』
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