上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
トップMapAngel Down 少女たちの過去編>『狂乱する少女』

前回→AD少女たちの過去編 『フラン・ドール』

注意事項

1、これは東方projectの二次創作小説である

2、オリキャラが登場するのである

3、原作設定一部崩壊、キャラ設定一部崩壊しているのである

4、これらの要素のひとつでも嫌なのであるなら、すぐに戦略的撤退をするのである

5、以上のことが大丈夫ならば、スクロールで読んでいってくれ





「私のことかしら? 私の名前はね――」

「八雲紫よ」

自分の名前を口ずさみ、彼女を見つめる。
彼女というのは、目の前にいるのは銀色の髪色を持つ吸血鬼。
白く美しい肌に、血塗られた血痕の後。そして、狂獣のように狂った瞳。
彼女がスカーレット家の長女――イリス・スカーレット――だということを物語っていた。

「やけに暴れたわね、まだまだ前座はこれからっていうのに」

恐らく今の彼女は心を壊している。
このままでは、漆黒の翼に意識を乗っ取られるのも時間の問題。
何としてでも彼女をここで食い止めなければ――。

「私を止められると思っているの? ただの子供如きに」

「子供じゃないわ。今は子供だけどこれから大人のレディになるのよ」

「どっちでもいいわ。どうせここで、死ぬんだから」

そう呟くと、一気に距離を詰めるイリス。
その速度から爪を繰り出す。
恐らく、直撃したら頭を刈り飛ばされるだけでは済まないだろう。

「はっ!」

身体を捻り、寸前のところで避ける。
そのままの勢いで蹴りを繰り出す。
勿論直撃はしなかったが。

「そこで蹴りを出すとは、中々肝が据わってるじゃない」

「それはどうも」

再び迫り来る彼女の爪。
髪の毛が二、三本飛び散ったが、なんとか躱すことができた。
勿論、カウンターで蹴りを仕込ませておいた。

「ちっ!」

今度は外さない。
直撃はしなかったが、掠らせることはできた。

「……ッ!? ふふっ、ただの子供ではなかったのね、貴女」

「ただのお子さんだと思ったら大間違いよ。今のがその立証」

「アハハッ! 貴女面白いわ。殺してあげる、私がこの手で、ね」

再び一気に距離を詰めるイリス。
爪による連鎖攻撃が目の前で繰り広げられる中、私はある事を考えていた。

八雲流。
私が編み出した格闘技の一種である。
外界の格闘技の中から選りすぐって混ぜ合わせた私流の格闘技。
実践ではまだ試してなかったし、今使ってみるのも悪くは無い。

腕を引き戻し、爪の動きを眼で追いながらタイミングを計る。
チャンスは一度だけ。

――今だッ!

「八雲流――緋牙舞」

緋牙舞――八雲流唯一のカウンター技。
相手の技を刀で受け流し、片方の手の甲で押し出す技。
私の場合、刀の代用品として日傘を使うのだけれど。

日傘で彼女の爪を軽く受け流し、追撃に出る。
手の甲を押し出し、彼女に叩きつける。
彼女は強張った顔を見せ、そのまま後ずさる。
今の反撃のおかげで、彼女は隙だらけ。
このチャンスを見逃すほど、私は愚かではない。

――このまま次の攻撃に繋げるッ!

「八雲流――炎脚撃」

地面に押し付けた足を擦り摩擦を引き起こす。
気を送り込むことで炎を宿し、そのまま加速させながら蹴りを繰り出す技。
キックボクシングの技を応用して編み出したのがこの技。
この一撃を避けることは、今の彼女では適わない。

「がはっ――!」

予想通り両腕を使いそれを防御した。
だけど、溶岩のように熱くなっているこの蹴りを耐えるのは至難の技である。
彼女にそれを耐える根性はあるのかしら?

「くっ、ふふふっ、まだまだ、ねッ!」

狂気に顔を歪ませると、そのまま押し切ってしまった。
やはり、一筋縄で行きそうにはなかった。
そのままカウンター気味に爪を出される。
頬の一部を斬られてしまったが、掠り傷。まだ大丈夫だ。
そんなことよりも、注意しなければいけないのは彼女の動向。
彼女は自分の血を地面に擦り合わせながら、何かを描いていた。
円形の中に刻まれた文字。あれは、魔法円。

魔法円というのは、西洋儀式魔術や魔女術において、術の発動に必要になる円のことである。
円の中には、五芒星、六芒星、ヘブライ文字、ラテン文字、ギリシア文字、まれにルーン文字などのさまざまな図形、記号、文字が描かれているのが普通だが、イリスの描いた魔法円には、それらは一切描かれておらず、代わりに、ある言語が描かれていた。
それは悪魔の文字。
悪魔の言葉というのは文字通り、地獄の悪魔たちがコミュニケーションのために使う文字である。
彼女が描いてる魔法円は、"死"や"破滅"といった単語をただひたすら綴っているだけなのである。
そして、獄炎の呪文(スペル)が刻まれ始めた。

「――Confutatis maledictis,(呪われし者を恥じせしめて、)――」

「――Flammis acridus addictis:(烈(はげ)しき炎に渡し給わん時、)――」

「――Voca me cum benedictis. (我を祝せられし者と共に招き給え。 )――」

「これは……ッ!?」

魔法円を描いた瞬間に気づくべきだったのだ。
スペルカードを創造するための呪文なのだと。
何故目の前にいる吸血鬼が異世界の理を知っているのか分からない。
だけど、今彼女の口から出てきているのだ。煉獄の詩(スペルカード)が。

「――Oro supplex et acclinis,(平伏して灰の如く砕けたる、)――」

「――Cor contritum quasi cinis:(心も偏(ひとえ)に願い奉る、)――」

「くっ!?」

一気に距離を詰めて回し蹴りで首を狙うが、すでに時遅し。

「――Gere curam mei finis. (我が終わりを計らい給え。)――」

――禁忌

「――レーヴァテイン――」

そして煉獄の詩(スペルカード)が完成した。

『レーヴァテイン』

北欧神話に出てくる巨人族が持つ炎の剣。
災いの杖。その名に相応しいほどの破壊力を持っていた。
神話上で語られてる伝説の剣を、イリスは魔法円から召喚したのであった。
レーヴァテインを目の前にして彼女は言う。

「どう? これが私の力。貴女も私たちと似たような者だったようだけど、この剣で原子レベルにまで破壊してあげるっ!」

彼女はレーヴァテインを持つと、瞬時に私の背後に回り、斬りつけようとした。
反射神経を多用し、寸前のところで刃を躱す。
火の粉が辺りに舞い散り、触れた土が蒸発するかのように抉れた。
まるで、超高熱の何かに触れてしまったかのように。

「八雲流――葬破道」

日傘による居合い。
それに続く突き。
この技は本来、刀で行う技なのだが、無いものは仕方がない。
日傘でも十分効力はあるものだ。

日傘による居合いを難なく受け止めるイリス。
獄炎の剣などで受け止められてるから、当然のように日傘は燃え尽きようとする。
だからこその突き。
レーヴァテインの業火によって燃え盛るこの日傘で、貴女の命を絶つッ!

「はぁぁぁ――――っ!」

ガシンッと金属音がぶつかり合う重低音が響き渡る。
私の日傘は完全に燃え尽きていた。
彼女の、腹の中で。
肉を貫いた感触を味わいながら、彼女の顔を見る。
自らの刃が仇になったのがよっぽど悔しかったのか、苦虫を噛み千切ったかのような顔をしていた。

「ぐッ――!」

イリスはそのまま灰となった日傘を握りつぶすと、再びレーヴァテインを振るい始めた。

「くっ、このォォォッッッ!」

至近距離からのレーヴァテインによる横薙ぎ。
私はそれを躱す術などない。
言い換えるなら、躱す必要などないということである。
接近して、その腕を捻り上げれば易々と無力化することができる。

「ずいぶんと余裕が無くなってきたみたいじゃない、イリス・スカーレット」

「くっ!?」

恐らく頭に血が上って、冷静さを失っているのだろう。
ここまで堕ちたのなら、もう倒すのは簡単だ。
だけど、彼女を殺してしまっては意味がない。
彼女を殺すのではなく、彼女を力で屈服させる。
それが恐らく、最善の選択なのだ。

――となれば、力が必要ね。

すでに私の答えは決まっていた。
力で押さえつける、つまりスペルカード。

「させないッ!」

彼女がレーヴァテインを振るおうとする。
だが腕の負傷のせいか、上手く振れないようだ。
悪いけど、その隙を突かせてもらう。
そもそも、子供だと侮った貴女が悪いのだから。

――廃線

「――ぶらり廃駅下車の旅――」

背後に巨大なスキマを展開する。
恐らく彼女はまだ見たことがないだろう。
レーヴァテインを構え、待ち構える彼女の様子を見ていれば分かる。
いくらレーヴァテインでも、これは防ぎようがない。
故に躱さなければならないのだ。
だが、彼女は躱そうとはしていない。
これが、無知の欠点なのよ。

スキマの中から二つの白い光が這い出る。
それと同時に、羽虫の羽音のような甲高い音が響き渡る。
その中から出たもの、それは――。

「なっ!? これは――」

巨大な乗り物、電車である。
今は使われていない電車を私が貰い受けて、こうして使っているのだ。
正面衝突したときには、いくら吸血鬼でも身体が粉々に砕け散っているだろう。
まさに、原子レベルにまで破壊するという彼女の台詞どおりだ。

「終わりよ、イリス・スカーレットッ!」

そして電車が通った後には、何も残らない。
血も、骨も、灰さえも。

「そう、何も残らないわ」

「ッ!? まだ生きてたの? 図太いわね」

まさかアレだけの攻撃を喰らって、まだ生きているとは。
私は改めて、彼女の狂気を思い知った。

「当たり前じゃない。子供にやられるほど軟(やわ)じゃないわ!」

「貴女は殺す。絶対に殺す。何度も殺す。殺してやるッ!」

殺意に眼をぎらぎらと光らせて、舐めるようにレーヴァテインを構える。
その動作に、背筋に冷たい汗が流れる。

「朽ち果てろォォォッッッ!」

レーヴァテインによる横薙ぎ。
強力なスペルカードを使うほど、その分疲労は大きい。
だから、今の私にはアレを避けるだけの力は残されてはいない。
だけど、私には分かる。
私はここで死ぬ運命ではないということが――。

彼女がレーヴァテインを振るのと同時に、彼女の背中に向かって閃光のようなものが走った。
まさにジャベリン――投げ槍――のように垂直に向かっていくソレは、あの子の詩だった。

――神槍

「――グングニール――」

彼女の獄炎の剣は、私の喉元には届かず、代わりに彼女の身体には神の槍が貫いていた。
これが私の運命であり、彼女の運命。

「終わりよ、お姉様。いいえ、イリス・スカーレット」

「ガハッ!? な、なんで……?」

このときには、もう彼女は正気を取り戻していたのかもしれない。
今となっては分からないのだが。
そして彼女はゆっくりと瞳を閉じた。








己を貫いた槍を放った妹――レミリア・スカーレット――の姿を睨みながら……。

          To be continued...


次回→AD少女たちの過去編 『死闘の果てに』
スポンサーサイト
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://cerberus1275.blog69.fc2.com/tb.php/327-70bcdb56
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。