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トップMapAngel Down 少女たちの過去編>『死闘の果てに』

前回→AD少女たちの過去編 『狂乱する少女』

注意事項

1、これは東方projectの二次創作小説である

2、オリキャラが登場するのである

3、原作設定一部崩壊、キャラ設定一部崩壊しているのである

4、これらの要素のひとつでも嫌なのであるなら、すぐに戦略的撤退をするのである

5、以上のことが大丈夫ならば、スクロールで読んでいってくれ








肉を突き刺す厭らしい音が耳に届く。
その肉が己の身体から発せられていると気づいたときには、駄目だった。
そして私は、ゆっくりと振り向いた。
胸に突き刺さる槍を放った者の顔を見るためだ。

――絶対に許さない。例え此処で朽ち果てようとも、貴様だけは殺すっ!

そう憎もうとしたのに。
そう怨もうとしたのに。
どうして。

「ガハッ!? な、なんで……?」

私の瞳に映ったのは、紛れも無く――。

「レミ……リア……?」

私の愛する妹だった。





「終わったわね」

私がそう呟いたときには、すでに彼女の意識は無かった。
幸いというか、彼女が放った槍は致命傷にはならず、まだ息はあった。
グングニールに突かれても生きているあたり、かなり図太い精神力の持ち主である。
心臓に毛が生えているんじゃないかって、本気で思ってしまうほど。

「そうね」

私の言葉に答えるかのようにそう呟く彼女は、手をわなわなと震わせていた。
自分がやったことに驚きを隠せない様子で。

「わ、私が、やったのね」

「……そうよ。貴女のお姉様の暴走を止めるためにね」

「……そう」

そう呟く彼女は、酷く落ち込んでいた。
無理もない。実の姉を貫いたのだから。

「これからどうするの?」

不意にそんな言葉が出た。
別に何か意味を持って言おうとしたわけではない。
ただ、なんとなく口から出てしまったのだ。

「そうね……」

腕組みしながら、考え込むレミリア。
そして――。

「またあの屋敷に戻るわ。妹も放ってはおけないしね」

「本当にそれでいいのかしら?」

「どうして?」

「今の貴女たちは、ルーマニアを脅かした吸血鬼なのよ。ルーマニアは間違いなく敵と見なすわ。それに、他の吸血鬼たちも黙っちゃいないわよ」

「……でしょうね」

不安に満ちた表情で彼女はそう呟く。

「でも、それでもね」

「私、あの家が好きだから。皆が好きだから。だから、戻るの」

そう言い切る彼女は、とても幸せそうな表情をしていた。
負の感情が入り込む隙間さえ無いほど万遍のない笑顔で。

「今戻るのは死にに行くようなものよ。それでも?」

「それでもよ。私は戻るわ」

「だって、それが運命だもの」

運命。
全てが運命だと言い切る彼女には、私をどういう風に見ていたのか。
分からないし、理解する必要もない。
ただ、彼女をむざむざと死なせたくなかったという思いはあった。
だからこそ、私は――。

「ひとつ、良い案があるんだけど、どうかしら?」

彼女たちを受け入れることにした。
ただ、彼女たちを死なせたくない思いで。

「……何かしら?」

「私の、世界(いえ)に来ない?」

「貴女の? でも私は屋敷に戻らなきゃいけないし」

「だったら、屋敷ごと私のところに来ればいいわ」

「そんなことできるわけが――」

「できるのよ。だって私は」





「スキマ妖怪だもの」

そうして私たち姉妹は、彼女の世界(いえ)へとやってきた。
そこは、とてものどかな世界。
今まで私たちのいた世界とは、全く別の世界。
全てが新鮮にしか感じられない、新しい世界だった。

「ここなら、そう易々と追っ手も来ないと思うわ」

「そう、ありがとう」

「どういたしまして。ただ、二つほど頼みたいことがあるのだけど」

「何かしら?」

まず一つ目は、この世界――幻想郷――に住む吸血鬼たちの管理。
境界に乱れで、時々吸血鬼がここに迷い込むこともある。
それを管理するのは、やはり同じ吸血鬼であるほうが良い。
それに、腐っても「紅」を冠するスカーレット家だ。
吸血鬼たちを従えるには、ちょうど良いと判断したのだろう。

私は、二つ返事で引き受けた。

「それと、もう一つなんだけど」

「イリス・スカーレットを封印してほしいの」

その言葉に、己の耳を疑った。
だが、何度聞き返しても間違いではなさそうだ。
理由を問い詰めたが、彼女から返ってきたのは至極当然の言い分だった。

――彼女は、この世界では危険すぎる異分子だから。

そう、彼女は危険すぎたのだ。
ルーマニアのことでもそう、親殺しのことでもそう、彼女の狂気は危険すぎる代物なのだ。
この世界でも同じ過ちを繰り返さないように、先手を打つべきなのは至極当然のこと。
だけど、実の姉を牢獄するのは、とてもできそうになかった。
でも、これ以上彼女を苦しめるわけにはいかない。
だから私は――。

「分かったわ。彼女を、イリス・スカーレットを地下に牢獄するわ」

最善だと思われる選択肢を選んだ。
そうして、姉は地下へと運ばれた。
そして、パチェに魔方陣を展開させ封印を施した。
もう二度と、あの惨劇を繰り返さないためにも。

そして紅魔館にも平和が訪れたのだが、心配なことが一つあった。
妹のことだった。
もし追っ手が来れば、真っ先に狙われるのは弱小な彼女である。
だからこそ私は、思い切った行動に出た。

「パチェ、私の魔力を彼女に移し変えて」

私の命令にパチェは一瞬驚いたが、私の意図が読めたらしく快く受け入れた。
魔力を移し変える専用の羽を作り出し、そこに私の魔力を移す。
幸い失敗もなく、無事に彼女に魔力を移し変えることができた。
そのついでに、彼女の記憶も一部消去することにした。
彼女の脳内から、悪魔のような出来事を全て、消し去りたかったからだ。
そして自身の姉であるイリスのことも。
彼女は殆どの記憶を失い、今までの臆病さも掻き消え、堂々とした振る舞いを見せるようになった。
だが、ひとつだけ忘れていないことがあった。
彼女の名前だった。
よほど名前をつけられたことが嬉しかったのか、記憶の奥底に染み付いてしまったようだった。
だから彼女は、フランドールという名前を忘れなかった。

――フラン・ドール。フランケンシュタインの人形。

彼女は一生その重荷を背負っていくことになるだろう。
そして私も一生姉の重荷を背負っていく。
それが私に架せられた十字架(ばつ)だと信じよう。
姉も妹も救うことが出来なかった私の十字架。
こうして、ここで一生を過ごすのだろうと思っていたのに――。

彼という歯車(いぶつ)がここに来てしまったせいで、全ての歯車(うんめい)が捩じれ始めた。

ゼロという一人のヴァンパイア・ハンターの歯車で。





昔のことを思い出しながら、廊下を駆ける私と咲夜。
どうしてこのような事態になっているのかは分からない。
ただ、早く止めないと取り返しのつかない事態になることは予測できた。

図書館の扉を開けると、彼女はそこにいた。
銀色の長い髪を揺らしながら、本棚の上に優雅に座るソレ。
片手には蒼色の輝きを放つ獄炎の剣。
その瞳には、おぞましいほどの狂気と憎悪。
かつて姉と呼んで慕っていた彼女――イリス・スカーレット――が、私たちの敵として居座っていた。

「久しぶり、レミリア。元気にしてた?」

姉からの最初の言葉は、酷く普通のものだった。

          To be continued...


次回→AD少女たちの過去編 『共鳴』

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