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トップMapAngel Down 狂乱する少女編>『姉妹』

前回→AD狂乱する少女編 第4話『主人と従者』

注意事項

1、これは東方projectの二次創作小説である

2、オリキャラが登場するのである

3、原作設定一部崩壊、キャラ設定一部崩壊しているのである

4、これらの要素のひとつでも嫌なのであるなら、すぐに戦略的撤退をするのである

5、以上のことが大丈夫ならば、スクロールで読んでいってくれ






「お嬢様、大丈夫ですか?」

咲夜の言葉に、私は頷く。
目の前には、かつて親友だったモノ――パチュリー・ノーレッジ――が横たわっていた。
心臓を抉られ、彼女の身体は蒼く燃えていた。
まるで己の死を知らせるかのように。

「大丈夫、私は平気よ」

なんとか理性で押さえ込む。
内なる狂気を表に出してはいけない。
今出してしまえば、咲夜も無事では済まない。

「分かりました。では、イリス様の元へと急ぎましょうか」

「そうね」

短く返事をし、再び廊下を歩く。

パチェには悪いけど、今は目の前の脅威を処理するのが先だ。
だから後で彼女は、手厚く葬ってあげよう。
それまで私も彼女の二の舞にならないことを祈ろう。

図書館の扉を開けると、彼女はそこにいた。
銀色の長い髪を揺らしながら、本棚の上に優雅に座るソレ。
片手には蒼色の輝きを放つ獄炎の剣。
その瞳には、おぞましいほどの狂気と憎悪。
かつて姉と呼んで慕っていた彼女――イリス・スカーレット――が、私たちの敵として居座っていた。

「久しぶり、レミリア。元気にしてた?」

姉からの最初の言葉は、酷く普通のものだった。

「ええ、元気よ。イリスお姉様」

私も、昔のようにそう返事をする。

「貴女、人間のメイドを雇ったのね。良いセンスしてるじゃない」

「彼女は私のお気に入りよ。いくらお姉様でもあげるわけにはいかないわ」

「レンタルは?」

「駄目」

「じゃあこうしましょう。私が貴女を殺したら、彼女を私の専属メイドとして貰うわね」

「ええ、構わないわよ。実の妹を殺せたら、だけどね」

二つの狂気が混ざり合う。
そして始まる狂乱の宴。

「咲夜、手を出しちゃ駄目よ」

彼女は私の瞳を覗き、ひとつ溜息を吐いてしぶしぶ頷く。

「いくわよ、お姉様。昔の私とは思わないことね!」

「――レッドマジック――」

まずは小手調べ。単調(シンプル)ながらも、巨大な弾幕を躍らせる。
彼女は本棚の上に立ち、その剣を横に薙ぎ払う。

一面に地獄の炎が広がり、私の弾幕たちをすべて消し去ってしまった。
すぐさま空中に跳び、次の一手を差す。

――紅符

「――スカーレットシュート――」

紅い雷が神罰の如く彼女に突き刺さる。
彼女はそれを軽くレーヴァテインで薙ぎ払うと、それを再び構える。

「この程度なの? 紅魔館の当主殿」

「これはほんの序の口よ。すぐに死なないことを祈るわ」

軽口を叩き、すぐさま次の一手を用意する。

――神槍

「――スピア・ザ・グングニル――」

目の前に巨大な魔方陣を展開させ、それに手を突き出す。
中から取り出したものは巨大な槍。
かつて神の槍として怖れられた四つの槍のひとつ、『グングニール』。

その槍は、どんなモノでも突き刺す最強の槍。
その槍の破壊力を上回るものはない。
故に最強と讃えられる。
故に切り札の一手。

「グングニールッ!」

その手に持っているという感触。
それは、私が生きているという証でもある。

「懺悔の時間は終わりよ、お姉様。その美しい顔がミンチになるまで、粉々に料理してあげるわ」

「そう、神の槍グングニール……ね。どこで手に入れたのやら。
 まぁいいわ。私のレーヴァテイン(これ)と貴女のグングニール(それ)、どちらが強いか勝負してみる?」

「面白そうね。……勝負になればの話だけどねッ!」

一気に距離を詰め、仕掛ける!
狙いは彼女の心臓。一突きで決まる。

突く。
だが、何かによって弾かれた。
そう、彼女のもつ災いの杖。破壊の象徴とも言えるレーヴァテインに。

だが私はひるまない。
これは想定の範囲内だった。
だから、そのまま攻撃を続ける。

身体を翻しながら、彼女の死角に移動する。
そして首元に一突き、心臓に一突き。

だが彼女は無表情のまま、レーヴァテインで弾き返す。
そして一気に距離を詰めてくる。

彼女の剣が左から右に振るわれる。
グングニールで防御し、次の一手を差す。

「ハァァッ!」

鈍い金属音が辺りに響き渡る。
最強の突きを、あらゆるものを破壊する剣によってまさしく破壊されてしまった。

「死になさい、レミリア」

彼女の剣が首を狙ってくる。
執拗に、貪欲に。まるで、生き物のように粘着に。

それを寸前のところで躱す。
背後から爆音が発せられる。
振り向かなくても分かる。背後にある本棚やらなんやらがレーヴァテインによって粉々に破壊されてしまったのだろう。

――パチェに謝る理由がひとつ増えたわね。

そう思うと、微かに笑みを浮かべてしまう。
殺し合いの最中に、そんな他愛のないことを思い浮かべてしまう自分の滑稽さに笑えてしまう。

「どうしたの? 何かおかしかったかしら?」

「いえ、何も。ただ、パチェに悪いと思っただけよ」

「そう、それなら後で私も謝っておこうかしら。……貴女の大事な図書館を跡形もなく破壊してしまうことにねッ!」

風を切る音が耳に届く。
反射的にグングニールを横に向け、それを防御する。

「へぇ、今の一撃をガードするなんて……。成長したわね、レミリア」

「そうでもないわよ。これでもギリギリだったんだから」

他愛のない会話をしながらも、殺気を放ったまま。
一瞬でも油断してしまったら、その瞬間が私の最期になる。

――流石ですね、イリスお姉様。

昔の私だったら、もう何度も斬り刻まれて灰と化していただろう。
だけど、今の彼女は封印から解き放たれたばかり。魔力も相当衰えているだろう。
そして私はあの時から随分と強くなった。フランを守るために。
いくら漆黒の羽を持っていたとしても、今なら勝てるッ!

「ハアァァッ!」

グングニールで再び彼女の心臓を狙う。
渾身の突きが空振り、彼女のレーヴァテインが私の首を狙う。
身体を後ろに反らし、ギリギリのところで回避する。
その体勢のまま、蹴りを彼女の脇腹にお見舞いする。

「ぐっ!?」

彼女は脇腹を押さえたまま、レーヴァテインを横に振る。
それをグングニールで押さえつけ、そのまま反撃に転じる。

「喰らえッ!」

グングニールの槍先が彼女を襲う。
彼女は手でそれを払いのけると、後ろに跳躍した。
彼女の額からは、微かだが汗が流れている。

「こんなこといくらやっても無駄よ。今の貴女じゃ私には勝てない」

彼女に優しく自身の勝利を告げる。
彼女は再び狂気に表情(かお)を歪ませる。
その笑みだけで人を殺せるような悪魔のような笑み。

「ふふふっ、そうね。そうよね! 確かに今の私じゃ貴女には勝てないわ。
 でもね、忘れたのかしら? 私の能力(ちから)を――」

突然、目の前に蒼い何かが飛んできた。
それはレーヴァテイン。先ほどから彼女が使っていた剣だった。

「ッ!?」

グングニールで全力でそれを弾く。
その重い一撃のせいで、態勢が崩れる。

「詰めが甘いわよ、レミリア。私に勝つのではなく、私を殺す気で来なきゃ、ね?」

ふと彼女の姿を見る。
その手にはレーヴァテインの代わりに、あるモノがあった。

蒼く輝く閃光の刃。
彼女の身長の2倍ほどあるそれは、今私が使っているこれと同じものであった。

――神槍

「――スピア・ザ・グングニル――」

「裁きを受けなさい、レミリア。死は貴女を優しく迎えいれるわ」

彼女の槍が空を舞う。
彼女は投げたのだ、グングニールを。
ジャベリンを投げるかのように。

今の態勢では回避するどころか、防御することもできない。
それだけではない。この運命に興醒めしていたのだ。

――私には、お姉様を殺すことなどできない。

形は変わっても、血を分け合った姉であることには変わりない。
今の私たち以外の、唯一の肉親である彼女。
だから勝てると思った。でも、勝てない。
勝つのではなく、殺さなければならない。
私には彼女を殺すという覚悟が足りなかったのだ。
殺気も足りない。狂気も足りない。

だから、私は――。

胸で受け止めよう。彼女のグングニール(裁き)を。







「時よ止まれ」

世界が衝突に止まる。
時を刻むのを止める。

これは彼女――十六夜咲夜――の世界。
彼女の孤独な世界。

それが――。

――幻世

「――ザ・ワールド――」

「そして、時が動き出す」

彼女の合図により、再び時が動き出す。
世界が動き出す。
彼女だけの孤独な世界の終わりを告げる。

私はいつの間にか、図書館の入り口にいた。
何が起こったのか理解するのに、数秒使った。
そして分かった。

――これは、彼女の能力(ちから)ね。

彼女のほうを見る。
彼女は、銀色に輝くナイフを構え、姉と対峙している。

対して姉は、数本のナイフが胸に刺さっており、苦痛に顔を歪ませている。

「なんで、私を助けたの?」

不意に口が動いた。
理性ではなく、本能がそれを告げていた。
彼女は優しく私に語りかけた。

「紅魔館(うち)には、目の前で主が殺されそうになっているのを見殺しにするような愚かなメイドはおりませんよ?」

彼女の言葉に、笑みが零れた。
そして後悔した。
また私の大事な者を失いかけてしまっていたことに。

「ごめんなさい、咲夜。すぐにそっちへ行くわ」

「いえ、大丈夫です。ここは私にお任せ下さい」

彼女がそう言い、両手にナイフを構える。

「行きますよ、お客様」

「お相手してあげるわっ! 古風なメイドさん」

先手は咲夜。
銀色のナイフが彼女の頭、胸、両手、両足を狙う。
彼女は何事もなかったかのようにそれを手で払いのけると、スペルカードを構えた。

「さぁ、踊りなさい。死と愉悦のダンスを」

――禁弾

「――スターボウブレイク――」

彼女の周囲から色鮮やかな弾幕の嵐が咲夜を襲う。
咲夜はそれをひとつずつ躱しながら、ナイフを投げていく。

空を切り裂くナイフは、私でも目に追えるほどのものではなかった。

――これが、彼女の本気なのね。

そう考える。
流石は元吸血鬼ハンター。その身体能力は、人間のそれを遥かに上回る。

だがナイフは全て彼女の元へたどり着くことはなかった。
彼女の弾幕によって相殺されていたからだ。

「くっ……!?」

彼女が苦そうな顔を見せる。
彼女の攻撃は全て空振り。
対してお姉様は、ただ闇雲に弾幕をばら撒き続けるだけ。

どちらが有利なのかはもはや一目瞭然だった。

「もう疲れたの? 人間にしては随分頑張っていたみたいだけど、残念だわ」

「お遊びはこれでお終い」

彼女が再び災いの杖を召喚する。
獄炎の剣が再び私たちの前に現れる。

――禁忌

「――レーヴァテイン――」


「これで終わりよ。さよなら、古風なメイドよ」

彼女は一瞬笑みで顔を歪ませると、一瞬で咲夜との距離を詰めてきた。
そしてレーヴァテインを上段から下段に振り下ろす。

鈍い金属音が再び響き渡る。

目の前にはイリス。
そして背後には咲夜。

手に持つグングニール(これ)で、彼女のレーヴァテイン(それ)を必死に押さえつけていた。

「何のつもり? レミリア」

「何のつもりかって言われれば、私の大事なメイドをこんなところで失いたくないからよ」

全力で彼女のレーヴァテインを弾く。
怯んだ彼女の脇腹に、蹴りを一発お見舞いする。
だが、流石に同じ手は通用しないようで、バックステップでそれを容易く避けてしまった。

「ふふふっ、甘いわ、レミリア。だから言ってるでしょ? ちゃんと殺さなきゃ」

イリスのレーヴァテインが再び宙に舞う。
ナイフのように鋭利な牙が咲夜を襲う。

「くっ!?」

咲夜の前に移動し、グングニールで弾き返す。
弾き返されたレーヴァテインが床に突き刺さる。

「チャンスッ!」

咲夜が私の前に躍り出て、数百に近いナイフを投擲(とうてき)する。
その殆どは外れたが、うち数本は彼女の身体に杭のように突き刺さった。

「ッ!?」

彼女の身体から白い煙のようなものが立ち込める。
どうやら咲夜の対吸血鬼用のナイフの効力だろう。

「ハァァァッ!」

グングニールを怯む彼女に向けて投擲する。
グングニールの槍先が彼女の身体を貫いた。

「ガハッ!?」

口から大量の血液を噴出させ、地面に崩れ落ちていくイリス。
やがて完全に動かなくなったのを確認し、地面に降り立つ。

「終わったわね……」

肩で息をしながら、そう呟く。

「そう……ですね……」

咲夜も胸に手を当てながら、必死に呼吸を整えようとしている。

「お嬢様……お疲れ様でし――」

その時、咲夜の顔が驚愕に歪む。

「お嬢様ッ! 危ないッ!」

「えっ――?」

それは一瞬の出来事だった。
腹の中から何かが浮き出る。

それは血。
真っ赤な血だった。

「――――ッ!?」

声にならない悲鳴を上げる。
世界が揺らいでいく。
意識が奈落の底に落ちていくような錯覚を感じる。

咲夜が慌てて駆け寄るが、彼女はすぐ後ろにいた。
さっき私が殺したはずの彼女――イリス・スカーレット――が。

「――――!」

咲夜の胸に紅い斑点のようなものが浮かび上がる。
彼女の身体から鮮血がほとばしる。

「お、お嬢……様」

咲夜の言葉が耳の鼓膜に響く。
苦痛を必死に耐え、彼女の元へ鉄のように重い身体を引きずっていく。

「さく、や……ッ!」

身体中の血が逆流しているような感覚を味わう。
今まで感じたこともない苦痛が全身を襲う。

だが、それでも――。
私は彼女を助けたかった。
彼女に救いをあげたかった。

そして、彼女に――。

ありがとうって、お礼を言いたかった。
こんな私に嫌な顔せずついてきた貴女に。
最初で最後のお礼を言いたかった。

「さく、や」

「ありがと――」

その言葉は唐突に遮断された。
すぐ横に狂気の笑みを浮かべた姉が、私の身体を災いの杖で突き刺していた。

「――ッ!?」

私の最期の言葉は、純血の吸血鬼とは思えないような奇怪な声で遮られたのだった。






――禁忌

「――フォーオブアカインド――」

それがこの手品の種であった。

パチュリー・ノーレッジを倒したイリスは、以前にフランとの戯れで自身の能力『見たスペカをコピーする程度の能力』で手に入れたこのスペルカードを使用した。
フランのもとは違い、分身は4人現れるのが彼女のスペルカードの特徴だった。
この分身はフランとは違い、各々にコンタクトが取れない代わりに、意思が存在する。
即ち、この分身はまさに彼女そのものと言っていいほどである。
このスペルカードで作った分身は、二度と復活できない。
そしてこのスペルカードは、一度使用したら二度と使用できず、再びコピーすることもできない。
強力すぎるが故、その分ハイリスクな仕様なのだ。

「もう一人の私よ。貴女には、レミリアたちの攻撃を任せるわ」

「分かったわ。貴女の期待に添えられない程度には頑張ってみるわね」

彼女は二人の少女と闘い、そして敗れ去った。
残りの仕事を、私たち4人に託して。
彼女の意思を無駄にしないように、未練をかき消す。

レミリア・スカーレット。私の愛しい妹。
彼女がいては、私は狂気に酔えない。狂えない。
だから彼女を殺すのだ。最後の一線を越えるために。
それに、あの時の復讐でもあるしね。

だから私は誓おう。
二人の幸せな世界を創るために狂い続ける、と。

だから私は信じよう。
この行動の果てには必ず彼女の笑顔がある、と。





紅魔館の玄関を開け、外の様子を窺う。
太陽は漆黒に染まっていた。
まるで私のことを祝福してくれるかのように。

「綺麗……ね」

無意識のうちにそう呟いていた。
それだけ美しかったのだ。
見つめ続けてたら吸い込まれてしまいそうな、その巨大な月に。

私の周りには、三人の私。
私は彼女たちに命令する。

「さぁ、貴女たちはこの周囲にいる脅威となるべき者をすべて抹消しなさい」

「徹底的に、ね?」



満身創痍リスト:

パチュリー・ノーレッジ
十六夜咲夜
レミリア・スカーレット


                          To be continued...


次回→AD狂乱する少女編 第6話『陰謀と策略』

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